タイ法務改正動向 : BOI恩典を利用したビザ・ワークパーミット取得要件に関する通達
BOI恩典を利用したビザ・ワークパーミット取得要件
要件を満たさない取締役や従業員がいる場合、給与額やポジションの見直しが必要になります。
- 適用開始日
- 2025年6月5日以降にBOI奨励証書が発行されている場合:2025年10月1日適用開始
- 2025年6月5日より前にBOI奨励証書が発行されている場合:2026年1月1日適用開始
- 最低給与額および適格性
| レベル | 具体的な役職名の例 | 最低年齢 | 業務経験 | 最低給与額 |
|---|---|---|---|---|
Executive | [年齢・業務経験年数の規定対象外]Chairman, President, CEO, Managing Director [年齢・業務経験年数の規定対象]CFO, COO, CTO, Vice Chairman, Vice President, Executive Director, General Manager | 27歳 | 関連する業務経験5年以上 | 平均給与THB 150,000/月以上 |
Management | Assistant Managing Director, Assistant Vice President, Manager, Advisor | 27歳 | 関連する業務経験5年以上 | 以下いずれか
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Operation | Supervisor, Coordinator, Consultant, Account, Sales Executive | 22歳
| 以下いずれか
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Science and technology researcher
| 以下いずれか
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| Engineer | 以下いずれか
| 以下いずれか
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| IT Specialist | 以下いずれか
| 以下いずれか
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| Operator for workstation (IBPO, BPO) | 関連分野のトレーニングを受けている証明 | 平均給与THB 35,000/月以上
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| Teacher | 教師採用通知とTeachers' Council 発行の資格の保有 | なし | ||
| Pilot | 以下いずれか
いずれの場合でもライセンスとタイ政府当局発行のレターの保有 | なし |
なお、タイでの就労期間が6ヶ月未満の場合、最低給与額の条件は免除されます。
給与額は、ビザやワークパーミットの新規発行(駐在員の新任もしくは新規採用)の場合には、給与額が明記された雇用契約書にて確認されます。更新の場合には、給与の源泉徴収票(PND 1)や年次源泉徴収票サマリー(PND 1 Kor)にて確認されます。以下のケースはご留意ください。
- 新任の駐在員の雇用契約書を作成していない場合:駐在員のタイ法人での雇用契約書を作成していないケースが多く見られますが、ビザやワークパーミット発行の際に提示を求められる可能性があります。
- 条件を満たさない外国人の取締役や従業員がいる場合:給与額の改定や、BOI恩典を使用しないビザへの切り替え等が考えられます。
- 駐在員の月次給与計算にタイでの支払い分しか含めていない場合:会社に源泉徴収義務があるため、駐在員が日本で受け取っている給与や賞与も月次の給与計算(源泉税と社会保険料の計算・納税納付)に含める申告が正しい方法であり、この場合、日本払いとタイ払いの給与の合算金額が条件を超えていれば問題ありません。一方、会社側の都合でタイで受け取っている給与のみを月次で申告し、日本で受け取った給与や賞与は個人所得税確定申告の際に追加納税しているケースがあります。この場合、日本払いとタイ払いの給与の合算金額ではなく、月次で申告しているタイでの給与額のみで上記条件を満たしていないとビザやワークパーミットの更新時に問題になる可能性が高いです。
- タイ人と外国人の比率
- 製造業(従業員100名以上の場合のみ):外国人がBOIにより定められた人数を超えない、かつタイ人の比率70%以上。ただしBOI委員会に“High-priority”と判断された場合、タイ人の比率を下げることを認められる場合もあります。
- 従業員100名未満の製造業、その他の業種:特定の比率の適用はありません。
(2025年7月作成)
免責事項
本記事は、作成日時点でのタイの法律等改正動向や一般的な解釈に関する情報提供を目的としております。内容については、正確性を期しておりますが、正確性を保証するものではなく、また作成後の法律改正等により最新の情報でない場合もあります。本記事の利用は、利用者の自身の判断責任となり、利用により生じたいかなるトラブルおよび損失、損害に対してForvis Mazarsは一切責任を負いません。個別の具体的な案件を進める場合には、事前に専門家へご相談頂きます様、お願い申し上げます。